管理職の残業代:「管理監督者」に当たるかを考えるポイント
「店長だから残業代は出ない」――そう言われても、名札や肩書だけで答えは決まりません。採用やシフトをどこまで決められるか、出退勤に裁量があるか、待遇は役割に見合うか。実際の働き方から、法律上の管理監督者に当たるかを考えます。
「店長」「管理職」なら、残業代は出ない?
管理監督者に当たるかは、役職名ではなく、職務と責任、権限、勤務態様、待遇などの実態を総合して判断されます。チェック項目の一つだけで決めるものではありません。
- 管理監督者の適用除外(労働基準法第41条第2号):監督もしくは管理の地位にある者については、労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない。
- 深夜業の未除外(労働基準法第37条第4項関連):第41条の適用除外規定には「深夜業務(22時〜翌5時)」が含まれていないため、管理監督者であっても深夜業の割増賃金(0.25倍以上の割増)の支払いは免除されません。
管理監督者の判断基準 厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化」 肩書ではなく、職務内容・責任と権限・勤務態様・待遇などの実態から判断することを確認できます。(2026年7月25日確認)
管理監督者でも、深夜手当は別に考える
管理監督者に当たらない場合と、管理監督者に当たる場合では、確認する割増賃金が異なります。
※役職手当を残業単価へ含めるかは、手当の支給条件を確認します。
【管理監督者に当たる場合】基礎時給 × 0.25以上 × 22時〜翌5時の労働時間
※時間外・休日の規定は適用除外でも、深夜割増は別に確認します。
管理監督者と深夜割増の根拠 厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」 労働基準法上の管理監督者であっても、深夜労働に対する割増賃金の支払いが必要であることを確認できます。(2026年7月25日確認)
役職手当がある場合の計算例
店舗の責任者(月給40万円・基本給35万+役職手当5万、基礎時給2,000円)が、当月に深夜労働20時間、通常の時間外労働30時間を行った場合の計算を比較します。
- 管理監督者に当たる場合
時間外労働(30時間)に対する時間外割増は発生しません。
深夜時間(20時間)に対する深夜割増:2,000円 × 0.25 × 20時間 = 10,000円
※給与40万円に+10,000円の追加支給が必要となります。 - 管理監督者に当たらない場合
一般社員と同じ扱いとなり、時間外と深夜をすべて足し合わせて計算します。
通常の時間外(30H):2,000円 × 1.25 × 30時間 = 75,000円
深夜の時間外(20H):2,000円 × 1.50 × 20時間 = 60,000円
合計 = 135,000円
※役職手当と固定残業代は同じではありません。契約上の区分、対象時間、実際の差額精算を確認します。
管理職についてのよくある思い違い
- 「店長」や「課長」という肩書きを与えれば残業代は不要になると考えている
労働基準監督署や裁判所は「実態」で判断します。経営層との一体的な立場になく、部下の採用・解雇等の人事考課の権限を持たない現場のプレイングマネージャーは、名ばかり管理職とみなされるケースが多数あります。 - 出退勤の自由(裁量)がないのに特権的な扱いとしている
遅刻や早退による減額、固定されたシフト、本人が決められる範囲などを具体的に確認します。勤務時間の裁量は判断材料の一つであり、ほかの職務・権限・待遇と合わせて見ます。 - 管理職の地位にふさわしい「十分な待遇」を確保していない
役職手当を含めた給与総額を労働時間で時給換算した際、部下や一般社員(アルバイト等)の賃金水準と大差がない、あるいは逆転現象が起きている場合は、管理監督者としてふさわしい待遇を受けていないと厳しく認定されます。
肩書ではなく、実際の権限と働き方を見る
- 該当ポストの社員が、経営会議等へ定期的に参加し、企業や部門運営に関わる重要な意思決定に実質的に関与しているか。
- 始業・終業やシフトについて、本人が実際に決められる範囲はどこまでか。遅刻・早退控除などの運用はあるか。
- 管理監督者として扱われていても、タイムカード等で深夜業の時間が把握され、0.25倍以上の深夜割増が確認できるか。
役職と支払いについての補足
役員(取締役)であっても残業代の支給対象になりますか?
原則として会社と委任契約を結ぶ「役員(取締役)」は労働基準法上の適用除外ですが、従業員としての職務を兼務する「使用人兼務役員」の場合、従業員としての実体的な労働部分に関しては残業代が発生する可能性があります。
名ばかり管理職と認定された場合、過去の残業代はどうなりますか?
管理監督者に当たらないと判断される場合は、実際の労働時間と支払い済みの手当を照合して、時間外・休日労働の差額を確認します。対象期間や請求の扱いは時期や事情で異なるため、記録をそろえて公的窓口や専門家へ確認してください。
固定残業代(みなし残業手当)を導入すれば、管理監督者でなくても定額で済みますか?
固定残業代は、一定時間分の時間外割増賃金をあらかじめ定額で支払う仕組みです。実際の計算額が固定残業代を超える場合は、原則として超過分の精算が必要です。契約書・賃金規程の区分と実際の支払いを確認してください。
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次に確認すると、計算の迷いが減ります
手元の資料と働いた状況に近い記事から、必要な条件を一つずつ確かめられます。
参照した資料
本文の確認に使った公的資料です。リンク先の更新日や適用範囲もあわせて確認してください。
- 労働基準法における管理監督者の範囲の適正化(厚生労働省)(2026年7月25日確認)
- 時間外・休日労働と割増賃金(厚生労働省)(2026年7月25日確認)
最終確認日:2026年7月25日
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