管理職の残業代:「管理監督者」に当たるかを考えるポイント

「店長だから残業代は出ない」――そう言われても、名札や肩書だけで答えは決まりません。採用やシフトをどこまで決められるか、出退勤に裁量があるか、待遇は役割に見合うか。実際の働き方から、法律上の管理監督者に当たるかを考えます。

編集:情報の確認・更新方針

今回見直した点:管理監督者の判断基準と深夜割増について、厚生労働省の根拠と確認範囲を追加しました。 サイト全体の変更履歴

店長の架空の職務権限と勤務実態を整理し、管理監督者への該当性と深夜労働を別々に確認する例

画像を大きく見る(別画面)

この表は法律上の管理監督者に該当する場合の比較です。肩書だけで該当性を決めるものではありません。

「店長」「管理職」なら、残業代は出ない?

管理監督者に当たるかは、役職名ではなく、職務と責任、権限、勤務態様、待遇などの実態を総合して判断されます。チェック項目の一つだけで決めるものではありません。

管理監督者の判断基準 厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化」 肩書ではなく、職務内容・責任と権限・勤務態様・待遇などの実態から判断することを確認できます。(2026年7月25日確認)

管理監督者でも、深夜手当は別に考える

管理監督者に当たらない場合と、管理監督者に当たる場合では、確認する割増賃金が異なります。

【管理監督者に当たらない場合】基礎時給 × 時間外・休日・深夜の該当する割増率 × 対象時間
※役職手当を残業単価へ含めるかは、手当の支給条件を確認します。

【管理監督者に当たる場合】基礎時給 × 0.25以上 × 22時〜翌5時の労働時間
※時間外・休日の規定は適用除外でも、深夜割増は別に確認します。

管理監督者と深夜割増の根拠 厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」 労働基準法上の管理監督者であっても、深夜労働に対する割増賃金の支払いが必要であることを確認できます。(2026年7月25日確認)

役職手当がある場合の計算例

店舗の責任者(月給40万円・基本給35万+役職手当5万、基礎時給2,000円)が、当月に深夜労働20時間、通常の時間外労働30時間を行った場合の計算を比較します。

  1. 管理監督者に当たる場合
    時間外労働(30時間)に対する時間外割増は発生しません。
    深夜時間(20時間)に対する深夜割増:2,000円 × 0.25 × 20時間 = 10,000円
    ※給与40万円に+10,000円の追加支給が必要となります。
  2. 管理監督者に当たらない場合
    一般社員と同じ扱いとなり、時間外と深夜をすべて足し合わせて計算します。
    通常の時間外(30H):2,000円 × 1.25 × 30時間 = 75,000円
    深夜の時間外(20H):2,000円 × 1.50 × 20時間 = 60,000円
    合計 = 135,000円
    ※役職手当と固定残業代は同じではありません。契約上の区分、対象時間、実際の差額精算を確認します。

管理職についてのよくある思い違い

肩書ではなく、実際の権限と働き方を見る

労働基準法上の管理監督者に当たる前提で、深夜労働の時間を分けられたら手当の目安を確認できます。 深夜手当の目安を計算する

役職と支払いについての補足

役員(取締役)であっても残業代の支給対象になりますか?

原則として会社と委任契約を結ぶ「役員(取締役)」は労働基準法上の適用除外ですが、従業員としての職務を兼務する「使用人兼務役員」の場合、従業員としての実体的な労働部分に関しては残業代が発生する可能性があります。

名ばかり管理職と認定された場合、過去の残業代はどうなりますか?

管理監督者に当たらないと判断される場合は、実際の労働時間と支払い済みの手当を照合して、時間外・休日労働の差額を確認します。対象期間や請求の扱いは時期や事情で異なるため、記録をそろえて公的窓口や専門家へ確認してください。

固定残業代(みなし残業手当)を導入すれば、管理監督者でなくても定額で済みますか?

固定残業代は、一定時間分の時間外割増賃金をあらかじめ定額で支払う仕組みです。実際の計算額が固定残業代を超える場合は、原則として超過分の精算が必要です。契約書・賃金規程の区分と実際の支払いを確認してください。

あわせて読みたい

手元の資料と働いた状況に近い記事から、必要な条件を一つずつ確かめられます。

22時以降の勤務 深夜割増になる時間を勤怠から分ける 22時から翌5時までの実働を拾い、時間外割増との重なりを確認します。 記事を読む 給与明細を確かめる 時間・単価・支給額のどこが違う? 勤怠と給与明細を並べ、残業代の掛け算を順番に照合します。 記事を読む 残業時間の基本 定時後のどこから割増になる? 1日8時間・週40時間を基準に、所定時間外と法定時間外を分けます。 記事を読む

参照した資料

本文の確認に使った公的資料です。リンク先の更新日や適用範囲もあわせて確認してください。

最終確認日:2026年7月25日
情報の確認・更新方針訂正を連絡