月平均所定労働時間はどこを見る?残業単価の分母を確かめる
残業代を計算するとき、何となく「173時間」と入力していませんか? 月平均所定労働時間は会社ごとに違い、残業単価を左右します。就業規則のどこを探すか、見つからないときは会社カレンダーからどう出すかを一緒にたどります。
会社カレンダーと勤務条件から、月平均時間を出す
毎月の実績を平均するのではなく、年間の所定労働日と1日の所定時間を同じ計算表へ集めます。
なぜ、この時間で月給を割るの?
残業代(時間外割増賃金)は、「1時間あたりの基礎時給 × 割増率 × 残業時間」で計算されます。この基礎時給を割り出すために「1ヶ月の平均所定労働時間」が必要になります。
計算式の「分母」である所定労働時間が小さくなればなるほど、基礎時給は高くなり、結果として残業代も高くなります。
月給を時間額へ換算する根拠 厚生労働省「割増賃金の計算方法」 月給制では、月給額を1年間における1か月平均所定労働時間数で割り、1時間当たりの賃金を求める考え方を確認できます。(2026年7月25日確認)
年間休日が違うと、残業単価も変わる
ネット上の計算ツールや解説でよく「173時間」が使われる理由と、自社の数字の出し方を解説します。正確な月平均所定労働時間は以下の計算式で導き出されます。
(365日 - 年間休日数) × 1日の所定労働時間 ÷ 12ヶ月
【一般的な「1日8時間・年間休日104日(週休2日目安)」のケース】
(365日 - 104日) × 8時間 ÷ 12ヶ月 = 174時間
※1年の週数(365÷7=52.14週)×週40時間÷12ヶ月≒173.8時間(174時間)とするのも同じ考え方のアプローチです。
| 年間所定休日 | 月平均所定労働時間 |
|---|---|
| 104日 | 174.0時間 |
| 110日 | 170.0時間 |
| 120日 | 163.3時間 |
| 125日 | 160.0時間 |
たとえば年間休日120日・1日8時間なら163.3時間です。月給25万円の場合、173時間で割ると約1,445円、163.3時間で割ると約1,531円となり、残業単価の土台に差が出ます。
この表を使うときの注意 厚生労働省「労働基準に関する法制度」 法定労働時間は原則1日8時間・週40時間です。ただし、月平均所定労働時間は勤務先の年間カレンダー、所定休日、1日の所定時間により変わるため、表の数値は自社の規程と照合してください。(2026年7月25日確認)
就業規則のどこを探せばいい?
- 労働条件通知書・雇用契約書を確認する
入社時に交付された書類の「勤務時間(始業・終業時刻、休憩時間)」「休日(年間休日数)」の項目を見ます。 - 就業規則・賃金規程を確認する
「割増賃金の計算方法」という項目に、「給与計算の基礎となる月平均所定労働時間は〇〇時間とする」とダイレクトに規定されているケースも多いです。 - シフト制の場合は「特則」を確認する
シフト制や変形労働時間制の場合は、月によって日数が変わるため、「年間を通じた平均時間」を使うのか「その月ごとのシフト上の合計時間」を使うのかが就業規則に定められています。
計算するときに間違えやすいところ
- 「所定労働時間=実際に先月働いた時間」という勘違い
「先月は繁忙期で200時間働いたから、分母も200時間かな?」というのは間違いです。所定労働時間はあくまで「定時で労働した(残業ゼロの)場合の時間」という固定の基準値です。 - 「休憩時間を含めて1日9時間」で計算してしまう
「勤務時間 9:00〜18:00(休憩1時間)」の場合、所定労働時間は「8時間」です。9時間で計算すると分母が大きくなり、残業代が不当に安くなってしまいます。 - 「法定労働時間(週40時間)」と同一視している
法定労働時間は労働基準法が定める「上限」であり、所定労働時間は会社が定める「契約時間」です。会社が「1日7時間勤務」と定めていれば、所定労働時間は7時間で計算しなければなりません。
給与明細と見比べる
- 雇用契約書等に「1日の勤務時間」と「年間の休日日数(または完全週休2日等の定め)」が明記されているか。
- 給与明細の「基礎時給」や「残業代単価」が、就業規則などに定められた月平均所定労働時間と一致するか。
- 月給に「残業代計算の基礎から除外される手当(通勤手当や家族手当など)」を含めて(あるいは不当に除外されて)計算されていないか。
月平均所定労働時間で迷いやすい点
所定労働時間と法定労働時間の違いは何ですか?
「法定労働時間」は労働基準法が定める労働時間の上限(原則:1日8時間・週40時間)です。「所定労働時間」は、会社と労働者の契約によって定められた個別の勤務時間(例:1日7.5時間)です。残業代の基礎時給は「所定」で計算しますが、割増賃金(1.25倍等)が発生する起点は「法定」を超えるか否かになります。
自分の所定労働時間が分からない場合、とりあえず173時間で計算してもいいですか?
173時間は仮置きの目安にしかなりません。年間休日や1日の所定時間が違えば分母も変わるため、支給額の照合には就業規則・賃金規程・会社カレンダーの数字を使ってください。
シフト制(月によって休日数が違う)の場合、所定労働時間はどうなりますか?
就業規則や賃金規程の定めに従います。「1年間の平均所定労働時間」を固定値として毎月使う会社もあれば、「その月の暦日数に基づく所定時間」を毎月変動させて計算する会社もあります。まずは会社の規程を確認することが先決です。
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次に確認すると、計算の迷いが減ります
手元の資料と働いた状況に近い記事から、必要な条件を一つずつ確かめられます。
参照した資料
本文の確認に使った公的資料です。リンク先の更新日や適用範囲もあわせて確認してください。
- 労働基準法 第37条(e-Gov法令検索)(2026年7月25日確認)
- 時間外・休日労働と割増賃金(厚生労働省)(2026年7月25日確認)
最終確認日:2026年7月25日
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