「残業代は出ない」と言われたときに、まず確かめたいこと
「固定残業代に入っている」「管理職だから出ない」――そう言われると、どこから確かめればよいか分からなくなります。まず結論を急がず、会社の説明を雇用契約書、勤怠、給与明細、就業規則の4つに照らして、食い違う場所を探します。
同じ月の契約・規程・勤怠・給与を1枚にまとめる
資料同士で数字が違う場所を見つけると、会社へ何を確認すればよいかが具体的になります。
「固定残業代に入っている」と言われたら
「うちは固定残業代(みなし残業)だから」「営業手当に残業代が含まれているから」と言われるケースです。
- 固定残業代のルール:雇用契約書等で「固定残業代として〇〇円(〇〇時間分)を支給する」と明確に区分・明記されている必要があります。また、実際の計算額が固定残業代を超える場合は、超過分の差額を確認します。
- 事業場外みなし労働時間制:外回り営業などで労働時間の算定が困難な場合に使われますが、「スマホやPCで随時会社の指示を受けられる状態」であれば適用が否定される傾向にあります。
固定残業代を確認する根拠 厚生労働省「固定残業代について」 通常の賃金部分と固定残業代部分を判別できること、実際の割増賃金が固定額を上回る場合は差額を支払う必要があることを確認できます。(2026年7月25日確認)
「管理職だから対象外」と言われたら
「君は管理職(店長・課長等)だから」と言われるケースです(いわゆる名ばかり管理職問題)。
- 管理監督者の判断:役職名ではなく、職務と責任、権限、勤務態様、待遇などの実態を総合して確認します。一つのチェック項目だけでは決まりません。
- 深夜割増の落とし穴:もし本当に管理監督者であったとしても、原則として、22時〜翌5時に働いた分には深夜割増(0.25倍以上)の確認が必要です。
管理監督者の判断基準 厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化」 「店長」「管理職」という肩書だけではなく、職務・責任と権限・勤務態様・待遇などの実態で判断することを確認できます。(2026年7月25日確認)
残業時間の数え方を見直す
「これは残業にはならない」と日々の労働時間を削られているケースです。
- 法内残業の勘違い:会社の定時が7時間の場合、1時間残業しても「法定労働時間の8時間以内」のため1.25倍の割増はつきませんが、1.0倍分の通常のベース賃金は別途支払われる必要があります。
- 日ごとの端数処理:「毎日15分未満は切り捨て」「30分単位でしか残業を認めない」といった日ごとの一律切り捨ては原則として認められません。実際の勤怠記録と集計方法を見比べてください。
勤怠と給与明細は、見られるうちに手元へ
支給額に疑問があるときは、まず同じ期間の契約・勤務・支払いが分かる記録をそろえます。
- 契約内容の確認
雇用契約書(労働条件通知書)や就業規則、賃金規程を用意し、「固定残業時間の有無」や「給与の基本ルール」を確認します。 - 実績と支給額の照合
タイムカードや勤怠システムの記録(残業時間、深夜時間、休日出勤など)と、給与明細の「時間外手当」「深夜手当」等の額を突き合わせます。 - 勤務実態を補う記録
打刻と実際の始業・終業が違う場合は、業務メール、社内チャット、PCログ、入退館記録など、同じ日の時刻が分かる資料を整理します。個人情報や社内情報の持ち出しには注意してください。
労働時間の記録に関する根拠 厚生労働省「労働時間の適正把握ガイドライン」 始業・終業時刻を確認し、タイムカードやICカードなどの客観的な記録を基礎として適正に記録する考え方を確認できます。(2026年7月25日確認)
相談前にそろえておくもの
- 「固定残業代」が給与明細上で基本給と明確に分かれて明記されており、何時間分かが契約書で確認できる状態か。
- 管理職扱いされている場合でも、22時以降の勤務実績(深夜労働)に対して深夜手当が毎月支給されているか。
- 日々のタイムカードの打刻時間が、不当に(15分や30分単位などで常に)丸められて切り捨てられていないか。
相談先を目的で選ぶ
- まず制度や計算の考え方を聞きたい
- 労働条件相談ほっとライン
- 職場のトラブルを幅広く相談したい
- 総合労働相談コーナー
- 労働基準法違反の疑いを申告したい
- 勤務先を管轄する労働基準監督署。相談時に勤怠・契約・明細の対象期間を伝えます。
会社へ確認するときの補足
「固定残業代込み」と言われたら、残業代は一切追加で出ないのですか?
一切出ないとは限りません。通常賃金部分と固定残業代部分を区別できるか、対象時間と金額が分かるか、実際の計算額が固定額を超えた月に差額が支払われたかを確認します。
管理職(管理監督者)なら深夜残業代もゼロで問題ないですか?
管理監督者に当たる場合でも、原則として深夜割増(22時〜翌5時の0.25倍以上)は別に確認します。管理監督者に当たらない場合は、時間外・休日・深夜の各時間と支払い済みの手当を照合します。
日々の残業時間を「30分単位」で切り捨てられていますが合法ですか?
「毎日30分未満を切り捨てる」といった日ごとの一律処理は、原則として認められません。労働時間は実際の時間を記録するのが原則です。月単位の端数処理には一定の取扱いがあるため、厚生労働省の資料と勤務先の集計方法を照合してください。
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次に確認すると、計算の迷いが減ります
手元の資料と働いた状況に近い記事から、必要な条件を一つずつ確かめられます。
参照した資料
本文の確認に使った公的資料です。リンク先の更新日や適用範囲もあわせて確認してください。
- 固定残業代について(確かめよう労働条件)(2026年7月25日確認)
- 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省)(2026年7月25日確認)
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省)(2026年7月25日確認)
最終確認日:2026年7月25日
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